脳や神経の活動からこころの状態を読み取る方法はいくつかありますが、それぞれ課題があります。
たとえば、機能的磁気共鳴画像(fMRI)は、計測機器が大型である上に時間的・費用的なコストがかかり、日常的なコミュニケーションの場面で使うのは簡単ではありません。心拍や呼吸のような生理シグナルは、ポリグラフ検査(いわゆる嘘発見機)などで部分的に実用化されていますが、こころの状態を読み取る情報源としては信頼性が高くありません。脳波には、感情にかかわる情報が含まれているとされますが、実際に脳波からこころの状態を読み取る実用例はほとんどありません。
「脳と神経からこころを読み取る」では、日常的な場面で使うことを前提として、脳波や生理的シグナルをこころの状態のリアルタイム・バイオマーカーとして使う技術の開発を目指します。具体的には、主に次のような研究に取り組んでいきます。
- 基礎的な科学研究として、頭皮上・硬膜下・脳深部と複数の部位で脳波を同時記録し、照合・解析することで、頭皮上脳波から脳深部の脳波を推定できるようにする。
- 基礎的な科学研究として、自律神経と関連の深い生理シグナル(心拍など)を脳波と同時記録し、照合・解析することで、こころの状態を多次元的に定量化できるようにする。
- これらを応用して、人間のこころの状態を定量的に測定できるようにする。
研究メンバー