血液などの体液には、「エクソソーム」と呼ばれる、直径30〜150ナノメートルの小さな物質が含まれています。近年、エクソソームに含まれるタンパク質やマイクロRNAが、がんやアルツハイマー病などといった疾患のバイオマーカーとして世界的に注目されています。また、エクソソームは、脳内細胞にも取り込まれ、脳の状態の維持や変化に関係しているのではないかと考えられています。しかし、具体的にエクソソームとこころの状態の関係や、エクソソームに含まれるタンパク質やマイクロRNAがこころの状態に応じてどのように変わるかは、ほとんど知られていません。
「細胞からこころを読み取る」では、体液を用いてこころの状態を読み取ることを目指して、エクソソームをこころの状態の長期的バイオマーカーとして使う技術の開発を目指します。具体的には、主に次のような研究に取り組んでいきます。
- 血中エクソソームの量と大きさ、また血中エクソソームに含まれるタンパク質やマイクロRNAの濃度や種類を、それぞれ明らかにする。
- エクソソームの情報とこころの状態との連動関係を、機械学習などを用いて解析する。
- 特定の臓器から得られたエクソソームが脳に取り込まれるようすを追跡し、これがこころの状態の変化に与える影響を分析する。
研究メンバー