人間の知覚機能や運動機能を目に見える形で表現したり、そうした機能を拡張したりすることが、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)やロボット技術を応用して研究されてきました。
たとえば、発達障害がある人の困りごとをVRで可視化する技術や、ロボットアームを「第3の腕」として使えるようにする技術が、着実に積み重なっています。ただし、こうした可視化・拡張システムは、日常生活において使うにはまだ課題があります。私たちのものの見方や行動は、周囲の状況や私たち自身の個性に応じて少しずつ異なりますが、こうした多様性は現在の技術ではまだ表現が簡単ではありません。
「『自在ホンヤク機』のシステム開発」では、日常的コミュニケーションの支援を念頭において、個人や文脈に合わせた情報伝達ができる「自在ホンヤク機」の開発を目指します。具体的には、主に次のような研究に取り組んでいきます。
- 利用者ごとの知覚的・認知的・身体的特性に合わせて、各種生理データからこころの状態をリアルタイムで推定できるようにする。
- 周辺の状況に合わせて、利用者ごとの知覚的・認知的・身体的特性に合わせて、こころの状態を状況に合わせてリアルタイムで伝達できるようにする。
- 脳を模した神経回路モデルを作成し、脳波やエクソソームの活動を再現することを通して、こころの状態を推定・予測できるようにする。
研究メンバー
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長井 志江東京大学 ニューロインテリジェンス国際研究機構 特任教授
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稲⾒ 昌彦東京⼤学 先端科学技術研究センター 教授
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齊藤 寛人東京大学 先端科学技術研究センター 特任助教
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保前 文高東京都立大学 人文社会学部 教授
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張山昌論東北大学 大学院情報科学研究科 教授