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  • 自在ホンヤク機の社会実装(発達障害)

ムーンショット9春の若手ワークショップが開催されました。

2024-04-04

2024年4月1日(月)~2日(火)の2日間にわたって、東京大学先端科学技術研究センターでムーンショット9春の若手ワークショップが開催されました。

本ワークショップは、UDトークというコミュニケーション支援アプリを用いて、音声をリアルタイムで日本語および英語翻訳の文字情報に起こすことで、聴覚障害のある方でも安心して参加できる形式で行われました。UDトークでは「えーっと」や「あー」などといったフィラーは文字情報に起こされず、意味としてまとまりのある文章のみが表示されるため、リアルタイム翻訳にも関わらず非常に読みやすい形で文字情報保障が行われていました。

1日目では、熊谷PIによる当事者研究に関する総論の動画を視聴した後、発達障害の当事者研究(綾屋紗月先生)および聴覚障害の当事者研究(熊谷研ユーザーリサーチャー廣川麻子様、牧野麻奈絵様)に関するお話を動画の形式で視聴しました。その後、各グループでディスカッションを行い、当事者の困りごとを解決するために求められる自在ホンヤク機の機能や、その実現のために役立つ研究について活発な議論が行われました。

また、国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター、エフバイタル株式会社から西尾萌波先生をお招きし、「Neurodiversityを跨ぐ相互理解のためのコミュニケーション基盤の創出」という演題で招待講演を行っていただきました。西尾先生の講演では、子供の目線や表情、発話といった情報と集積されたビッグデータを用い、子供たち一人ひとりの個性に応じた対応を提案・実施することで、ニューロダイバーシティ社会の実現を目指す研究についてのお話を聞くことができました。

2日目には、「感情は連続値で表現できるvs感情はカテゴリカルなものである」という討論テーマでグループごとに分かれ、ディベートを行いました。ディベートでは生理的側面と文化的・社会的側面など多角的な視点によって、感情がどのようなものであるか話し合われました。感情が連続値であるか、それともカテゴリカルなものであるのかについて一意に定めることはできませんが、自在ホンヤク機が目指す「こころの状態の定量化」のために必要な「感情」という概念の理解および自在ホンヤク機としての表現の方法について意見を深めることができたと思います。